南望 備忘log

旭川の野外彫刻2012年05月18日 09:23

 旭川には野外彫刻がいっぱい。街づくりの方向性として推進してんのだろう。おいらの理解の外にあるものも多数。

 でも、昔、買い物公園がオープンした当時からある『若い女』(1971年) はいいな。いつまでも若い。作家の佐藤 忠良(さとう ちゅうりょう)氏は昨年(2011年)98歳で杉並の自宅でなくなられたという事だ。
 なくなられてはじめて作者の名前を知った。芸術には疎いので恥ずかしい限りだ。

 東京に出てすぐに、アルバイトで、闇雲に家電製品を戸別訪問販売という、無茶なことをやったことがある。
 当然、まったく売れるわけもなく、すぐにそこはやめたのだけれど、そのおかげで、その間、普通では見る事のできないものを、いろいろ見る事ができた。

 若いという事はすごいもんで、怖いものを知らないから、というより、世間を知らないから、怖いものは自分の知っているごく狭い範囲の中にしかないと思っている。だから、どこにでも入っていけたし、言われたとおりの、営業ができたんだろう。

 別に、その製品は、普通の家電だったから(確か、ラジカセとワイヤレスマイクの抱き合わせ販売だった。いわゆるカラオケの奔りだったわけだ)よかったけれど、これが何か、法に触れるものだったとしても、おそらく同じように売り歩く事ができただろうと思うと、ゾッとする。

 ヤクザの事務所の、スチール製のロッカーが迷路のように配置された入り口を突っ切って、提灯だらけの広い場所に出たときには、なぜかホッとした。そこで、一通りデモをやって帰ってきたんだから、今思うと大したもんだ。

 警察の寮の中に入っていったり、怪しげな工場の中だったり、連れ込み、ボッタクリっぽい店の中やら、明らかに日常とは違う異空間にときめいたものだった。今思うと冷や汗ものだけど。

 そんな折、普通の木造の平屋の民家、おそらく、都営住宅を買い取ってリフォームした」のではないかと思われる小さな家に入った事があった。
 そこは、板張りの広いワンルームになっていて、上品な感じの老人が出て見えた。何かのアトリエで、やわらかい光が室内に満ちていた。

 そのとき、「ああ、将来こんな場所で絵を画いて暮らせたら幸せだろうなって」ふと思った事を思い出した。

 イヤー前振りが長くて、何の話だか覚えていないかもしれないんで、繰り返すと、98歳で杉並の自宅でなくなられた作家の佐藤 忠良(さとう ちゅうりょう)氏の話で思い出したわけ。あの場所も確か杉並か中野あたりだった気がする。

 ご冥福をお祈り申し上げます。

旭川の野外彫刻_22012年05月18日 10:31

 ちなみに、新しい旭川の顔はこれ。黒川晃彦(くろかわ あきひこ、1946年 - )氏によるもの。

 寒くなると、聞き手の猫には、毛糸のポンチョやら、帽子やらがかぶせられて、お地蔵さん化している。
Copyright ©2012 NAMWO. all rights reserved.