南望 備忘log

三菱鉛筆 旧9000番2012年08月22日 05:47


 先日手に入った三菱鉛筆 旧9000番!確かに、ファーバーカステルの色だ。
削ると、まだ鉛筆特有の木のにおいがした。

 今でも三菱鉛筆 9000番は売ってるんだけど、まるで別物。
今売っている、現代バージョンの9000番はこれ。


「文具に埋もれる - 三菱鉛筆 9800,9000番鉛筆」によると、1950年に発売。
・・・軸は9800番と比べて厚塗りになり、あるときから鉛筆の頭が塗りこめられるようになりました。 芯も改善され、安定筆記が長持ちします・・・となってる。

「芯も改善され」・・・???

歴史・沿革|会社について|2013年度新卒採用情報 三菱鉛筆株式会社
に、

1952年(昭和27年)

「眞崎大和鉛筆(株)」の社名を「三菱鉛筆(株)」と改め、社名と
商品名との統一を図る。とある。

眞崎大和鉛筆の刻印はないから、それ以降のものではあるわけだ。

旅心 Traveler's Mind日本の鉛筆の歴史
に「眞崎大和鉛筆(株)」の刻印のある写真がある!この中の「JISマークは一本だけに付いていた。」というのが今回の三菱鉛筆 旧9000番とおなじものなんだろうね。


 今売ってるのは、後ろが丸まっているタイプ。こいつは両切り。短くなったら新しいのとくっつけて使う、「貧乏鉛筆」ができるぞ!(それは、どうでもいいって!)

 でもやっぱり、今売ってる三菱鉛筆 9000番のほう描き心地がよさそう。・・・見た目、あまりに普通すぎる。・・・なんだか悪い予感がするぞ。

 箱のデザインも今とは違う。



 

 当時、定価は600円だったんだね。結構な値段だ。
いつの時代のものかははっきりしないけど、1998年から、日本の鉛筆業界では、鉛筆製品にJIS(ジス)マークを表示しないことになったらしいのでそれ以前のものだ。・・・って結構最近まで売ってたんだなあ。・・・15年前は最近じゃないって。

 でも、たとえば、現代バージョンの三菱鉛筆 9000番と並んで同じ値段で売っていた時期があるとしたら、あえてこちらを買う人っていたとは思えないな。重なっている時期、小売店はどうやってこの商品をさばいたんだろう?やっぱり値下げして売ったんだろうか?三菱鉛筆が新しい製品と交換していったってことは?・・・ないだろうなあ。 

 というより、こんなに見た目も違うものを、何で同じ型番にして売り出したの?

 よっぽど三菱鉛筆は 9000番という商品名に愛着があったに違いない。言ってみれば、戦後の再出発の象徴みたいな製品ってワケだ。

 さて使ってみたんだが・・・、

 驚いた事に描き心地はザラザラ・・・(T_T)・・・特に4Hが・・・。こりゃひどいな!

 この下の9800番でももう少しましなんじゃないかな?9800番は使った事ないから分からないけど。この引っかかる感じは何なんだ!?

 昔の薄いほうの鉛筆はこんなもんだったんだろうか?まあ、同じ時代の「コーリンの3030番 3H」もあるから、比べてみれば分かる事だな。それはまた今度。

 ファーバーカステルの9000番に対抗して造った割にはひどい出来だ。似てるのは色と刻印だけか!?それとも、芯の経年変化でこうなってしまったんだろうか???そうだとすると、もう、本来の書き味を確かめる事は不可能だけど・・・経年変化で鉛筆が駄目になってしまうなんて聞いたことないぞ。

 3Hはそれでもまだ使える・・・

 いや、もしかするとこの書き味はあえてこうしてるのか???

 
 ファーバーカステルの9000番は少し薄いんで、薄いほうは、2Hしか使った事はないけど、確かに少し引っかかるざらついた感じは似てるかもね。

 値段的にはuni*starと同じだったはず。(時代はずいぶん下ってからの話しだけど)

 だったら、同じような質感かと思っていたけど、まったく別物だ。これじゃ絶対に売れない。

 書き味を比べてみると本当にひどい!

 ・・・大量に(一生分くらい)有るから、まあ、この感じを楽しみながら使い倒すかな(T_T)・・・。

 まったくの予想外だったぜ>三菱鉛筆 !

 まさか、古い日本製をまねて造った偽物ってことは・・・ないだろうなあ・・・。

 


 そうか、「文具に埋もれる - 三菱鉛筆 9800,9000番鉛筆」にあった、「芯も改善され・・云々」って、このことなのか?つまりこれは改善される前の芯なのかもしれない!

 
 だとすると、こりゃ、相当古いものだな。1950年に登場し、「あるときから鉛筆の頭が塗りこめられるようになりました。」だから、「あるとき」より前のものだ。

 いつなんだー、「あるとき」って!?

 ・・・とにかく、今の三菱鉛筆 9000番と比べてみればはっきりすることだからね。それはそれで楽しみ。


追記

 600円の値札をはがすと中から更に古そうな、480円が出現!偽者はここまで芸は細かくないだろうね。


 ザラザラといっても、今使っている絵画用の上質紙を使った際の印象なんで、ノートとかで使う分にはちょっと滑らないかな位の感じ。

文具に埋もれる - 三菱鉛筆 9800,9000番鉛筆

に、「9800は軸や黒鉛が低品質で、よく砂をかむような感じがするのでいやと言われますが、・・・」と有るけど、まさにそれだな。

三菱鉛筆ユニ ニッポン・ロングセラー考 - COMZINE by nttコムウェア

に「当時の三菱製鉛筆の値段は、No.9800が1本10円、No.9000が20円だった。」とある。
倍の値段だ!それなのにザラザラは同じなのか?

 それとも、それを克服するのは、技術的に
1958年に誕生した「・・・国産では最高となる1本50円、1ダース600円という価格・・・」のuniの出現を待たなくてはならないのか!?

 
1959(昭和34)年に1ダース360円(1本30円)の普及版「ユニP」登場。

 その後、
1966(昭和41)年に、Hi-uniがuniの倍の値段で登場。

 確かこの頃はハイライトが80円、セブンスターが100円だった頃。
 この頃に一本100円の鉛筆って、すごいんじゃない?

 「ユニP」と代わって、
1975(昭和50)年に1ダース600円(1本50円)の「ユニスター」が発売。

と、廉価版、普及版の登場が続くわけだ。

 そんな熟成された普及版の「ユニスター」とファーバーカステルの9000番に対抗して造られた時代の「三菱鉛筆 旧9000番」を比べるのが土台無茶な話だったかも。

ごめんね「三菱鉛筆 旧9000番」・・・新しいバージョンはまだ使ってないけど。


*** 追記 ***
 後日、ファーバーカステル9000番を大量に手に入れたところ、この書き味がくしくも三菱鉛筆 旧9000番とよく似ていたことから評価が一変。情けない事に、「このザラザラがいい』という結論に達しております事を臆面もなく、ここに付け加えさせていただきます。
 いいぞ、「三菱鉛筆 旧9000番」!
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